防風通聖散の副作用まとめ|添付文書ベースで重大なものから軽いものまで解説

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)はドラッグストアでも手軽に買える漢方薬ですが、「自然由来だから副作用がない」というのは誤解です。

医薬品である以上、副作用は存在します。この記事では、ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)の添付文書をもとに、よくある副作用から重大な副作用まで正確な情報を解説します。

※本記事は医薬品の添付文書に基づく情報提供を目的としています。服用の可否や副作用への対応は、必ず医師または薬剤師にご相談ください。

目次

「漢方だから安全」は誤解。防風通聖散にも副作用がある

防風通聖散は18種類の生薬から構成された漢方薬で、肥満症・便秘・むくみ・高血圧の随伴症状(動悸・肩こり・のぼせ)に用いられます。

保険適用もある医薬品ですが、「漢方薬は副作用が少ない」というイメージから、副作用を軽視して長期にわたり市販薬を自己判断で飲み続けるケースが見られます。

しかし、防風通聖散には重大な副作用として間質性肺炎・偽アルドステロン症・ミオパチー・肝機能障害・腸間膜静脈硬化症が添付文書に記載されています。

頻度は「不明」とされているものの、報告された症例の中には腸管切除術に至ったケースも含まれます。市販薬で購入している方も含め、副作用の知識を持って使うことが大切です。

よくある副作用(その他の副作用)

添付文書では「その他の副作用」として、以下の症状が頻度不明として記載されています。頻度は不明ですが、重大な副作用に比べると比較的軽度で、服用中止後に回復することが多いとされています。

消化器症状

食欲不振・胃部不快感・悪心・嘔吐・腹痛・軟便・下痢などが報告されています。

防風通聖散には大黄(ダイオウ)という腸の蠕動運動を促す生薬が含まれているため、体質によっては下痢や腹痛が起こりやすくなります。

空腹時に服用した場合や、胃腸が弱い方では特に出やすい傾向があります。症状が続く場合は服用量の調整や服用タイミングを医師・薬剤師に相談しましょう。

自律神経症状

不眠・発汗過多・頻脈・動悸・全身脱力感・精神興奮などが報告されています。防風通聖散に含まれる麻黄(マオウ)は交感神経を刺激する作用を持つ生薬です。

この働きにより脂肪燃焼が促される一方で、過剰に作用すると動悸や不眠といった自律神経症状が現れることがあります。高血圧や心臓疾患がある方は特に注意が必要です。

過敏症(発疹・かゆみ)

発疹・そう痒(かゆみ)などの皮膚症状が出ることがあります。

生薬へのアレルギー反応が原因と考えられます。軽度であっても、これらの症状が現れた場合は服用を中止し、医師・薬剤師に相談してください。

泌尿器症状

排尿障害が報告されています。

麻黄に含まれる成分が膀胱や尿道に影響することがあり、もともと排尿障害がある方は症状が悪化するおそれがあるため、添付文書では慎重投与とされています。

重大な副作用5つ|これが出たらすぐ服用を中止して受診を

以下の5つは、ツムラ防風通聖散の添付文書に「重大な副作用」として記載されているものです。

いずれも頻度不明ですが、発現した場合には速やかな対応が必要です。

① 間質性肺炎

肺の組織(間質)に炎症が起こる病態です。以下の症状が現れた場合は、すぐに服用を中止して医療機関を受診してください。

  • 長引く咳(咳嗽)
  • 息苦しさ・呼吸困難
  • 発熱
  • 肺音の異常

添付文書では、これらの症状が現れた場合に胸部X線・胸部CTなどの検査を実施し、必要に応じて副腎皮質ホルモン剤による治療を行うとされています。

② 偽アルドステロン症

甘草(カンゾウ)に含まれるグリチルリチン酸が、アルドステロンというホルモンと似た作用を起こすことで発症します。体内のナトリウムとカリウムのバランスが崩れ、以下のような症状が現れます。

  • 低カリウム血症
  • 血圧の上昇
  • 体液の貯留・浮腫(むくみ)
  • 体重増加

他の甘草含有漢方薬(葛根湯・芍薬甘草湯など)と重複して服用している場合は特にリスクが高まります。添付文書では、血清カリウム値と血圧値の定期的な確認が求められています。

③ ミオパチー(筋障害)

偽アルドステロン症による低カリウム血症がさらに進行すると、筋肉に障害が生じるミオパチーを引き起こすことがあります。

  • 脱力感・手足に力が入らない
  • 四肢の痙攣
  • 四肢麻痺

これらの症状が現れた場合は服用を中止し、カリウム剤の投与などの適切な処置が必要です。偽アルドステロン症と合わせて、早期発見が重要です。

④ 肝機能障害・黄疸

AST・ALT・γ-GTPなどの肝臓の数値が著しく上昇し、肝機能障害や黄疸が現れることがあります。

  • 皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
  • 全身のだるさ・倦怠感
  • 食欲不振
  • 尿が褐色になる

これらの症状が現れた場合は服用を中止し、すぐに医療機関を受診してください。

⑤ 腸間膜静脈硬化症(長期服用で特に注意)

山梔子(サンシシ)を含む製剤の長期投与(多くは5年以上)により、腸の静脈が硬化する「腸間膜静脈硬化症」が発生することが報告されています。添付文書では、腸管切除術に至った症例も報告されています。

  • 繰り返す腹痛
  • 繰り返す下痢・便秘
  • 繰り返す腹部膨満
  • 便潜血陽性

上記の症状が繰り返し現れる場合や便潜血が陽性になった場合は服用を中止し、CTや大腸内視鏡などの検査が必要です。長期使用中の方は、定期的な検査を受けることが添付文書でも推奨されています。

副作用が出やすい人・服用に注意が必要な人

添付文書では、以下に該当する方は慎重投与とされています。該当する方は自己判断での服用を避け、必ず医師・薬剤師に相談してください。

下痢・軟便がある方症状が悪化するおそれ
胃腸が弱い方食欲不振・悪心・下痢が出やすい
病後の衰弱期・著しく体力が低下している方副作用が出やすく増強されるおそれ
発汗傾向が著しい方発汗過多・全身脱力感が出るおそれ
狭心症・心筋梗塞など循環器系の疾患がある方疾患が悪化するおそれ
重症高血圧症の方疾患が悪化するおそれ
高度の腎障害がある方疾患が悪化するおそれ
排尿障害がある方症状が悪化するおそれ
甲状腺機能亢進症の方疾患が悪化するおそれ

また、防風通聖散は「実証」(体力のある方)向けの漢方薬です。

やせ型・虚弱体質・体力が低下している方にはそもそも適しておらず、飲み続けることで副作用が出やすくなります。

自分の体質が防風通聖散に合っているかどうかは、漢方に詳しい医師や薬剤師に確認することをおすすめします。

飲み合わせ注意

防風通聖散は複数の生薬を含むため、他の医薬品や漢方薬との組み合わせに注意が必要です。

まず、大黄(ダイオウ)を含む他の製剤との併用には特に注意が必要です。

防風通聖散自体に大黄が含まれているため、他の大黄含有製剤と重複すると下剤作用が過剰になるおそれがあります。添付文書でも「ダイオウを含む製剤との併用には特に注意すること」と記載されています。

次に、甘草(カンゾウ)含有製剤との重複です。葛根湯や芍薬甘草湯など、甘草を含む漢方薬は多く存在します。

複数の甘草含有製剤を同時に使用すると、偽アルドステロン症のリスクが高まるため注意が必要です。現在他の漢方薬を服用中の方は、薬剤師に確認することをおすすめします。

さらに、麻黄(マオウ)に含まれるエフェドリン様成分は、テオフィリン(気管支拡張薬)やエフェドリンなど交感神経を刺激する薬との組み合わせで作用が増強されることがあります。

気管支喘息や心疾患の治療薬を服用中の方は、必ず主治医に相談してください。

副作用を減らすための服用のポイント

正しく服用することで、副作用のリスクを軽減できます。以下の点を守るようにしましょう。

用量・用法を守ることが基本です。添付文書では、通常成人1日7.5gを2〜3回に分割し、食前または食間に服用するとされています。消化器症状が気になる場合は食後に変更することも選択肢のひとつですが、変更前に医師・薬剤師に相談しましょう。

水または白湯で服用することも重要です。お茶やジュースなどでは薬の吸収に影響が出ることがあります。コップ1杯程度の水分と一緒に服用することで、生薬が適切に溶けて作用しやすくなります。

長期服用する場合は定期的な受診・検査が必要です。特に5年以上の服用を考えている場合は、腸間膜静脈硬化症のリスクを踏まえてCT検査や大腸内視鏡検査を定期的に行うことが望ましいとされています。市販薬であっても、長期服用中は医師や薬剤師に相談しながら使用することをおすすめします。

他の漢方薬と重複しないよう確認することも大切です。現在服用中の薬や漢方薬があれば、必ず医師・薬剤師に伝えてください。

よくある質問

Q:市販の防風通聖散でも副作用は同じですか?
A:市販薬(一般用漢方製剤)も医療用と同じ生薬が配合されており、副作用のリスクは基本的に同様です。市販薬は生薬量が少なめに調整されているケースもありますが、長期服用や体質との相性によっては副作用が起こりえます。市販薬の添付文書も必ず確認し、気になる症状が出た場合は服用を中止して薬剤師または医師に相談してください。

Q:下痢が出た場合はどうすればいいですか?
A:軽度の下痢や軟便は防風通聖散のよくある副作用のひとつです。症状が軽い場合は服用量を減らしたり、食後に変更するなどで改善することがありますが、まず医師・薬剤師に相談することをおすすめします。症状が強い場合や繰り返す場合は服用を中止してください。

Q:何年も飲み続けていますが問題ありますか?
A:添付文書では、山梔子(サンシシ)含有製剤の5年以上の長期投与で腸間膜静脈硬化症のリスクが指摘されています。腸管切除術に至った症例も報告されているため、長期服用中の方はぜひ一度医師に相談し、必要に応じてCTや大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

Q:動悸や不眠が出てきました。続けて飲んでいいですか?
A:動悸・不眠・頻脈などは防風通聖散の副作用として添付文書に記載されています。これらの症状が出た場合は服用を一旦中止し、医師または薬剤師に相談してください。特に高血圧・心疾患がある方は慎重な対応が必要です。

Q:妊娠中・授乳中でも飲めますか?
A:防風通聖散に含まれる大黄には子宮収縮作用があるとされており、妊娠中の使用は避けることが一般的です。授乳中についても同様に慎重な対応が必要です。いずれも必ず医師に相談してから判断してください。

副作用を知ったうえで正しく使う

防風通聖散はドラッグストアで手軽に入手できる漢方薬ですが、添付文書には間質性肺炎・偽アルドステロン症・ミオパチー・肝機能障害・腸間膜静脈硬化症という重大な副作用が明記されています。漢方薬だからといって副作用を軽視せず、以下の点を意識して使用することが大切です。

  • 用法・用量を守る
  • 体質・持病に合っているか確認する
  • 他の漢方薬・医薬品との重複に注意する
  • 長期服用の場合は定期的に医師・薬剤師に相談する(5年以上は特に注意)
  • 重大な副作用のサインが出たらすぐに服用を中止して受診する

市販薬として購入している方も、自己判断のみで長期にわたり服用を続けることは避け、薬剤師や医師に定期的に相談しながら使用することをおすすめします。

参考文献

本記事は以下の公的情報・一次資料をもとに作成しています。

※本記事の情報は記事公開時点のものです。添付文書の内容は改訂されることがあります。最新情報はPMDAまたはツムラ公式サイトでご確認ください。

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